さまざまな教育本が溢れている現代。
この本にはこう書いてあるが、あの本には逆のことが書いてある。何を信じたらいいのか分からない。
そんなふうに思っている親御さんは、多いのではないでしょうか。
「わたしはばかです」と書いた、小学2年生
私には、忘れられない出来事があります。
最近、ADHDグレーゾーンのお子さん(小2)の親御さんとお話しする機会がありました。私ともすぐに打ち解け、お手紙をくれたり、一緒に本を読みたいと言ってくれたり、とても可愛らしいお子さんです。
その子の親御さんは、暗い面持ちで、この日学校から持って帰ったプリントを見せてくれました。そのプリントには、子どもの殴り書きのような字で、こう書いてありました。
「わたしはばかです」
私は、これを見て本当に心が痛みました。
周りのクラスメイトに比べてできないことが多い、その経験の繰り返しが、「ばか」という言葉となってそのお子さんの中から出てきたのです。
同じような気持ちを抱えている、発達障害グレーゾーンのお子さん・親御さんは多いです。上のお子さんの例だと、学年が上がってからクラスメイトにからかわれることも多くなったそうです。
では親御さんや周りの大人たちは、どのような言葉かけをすべきなのでしょうか?
他の子と比べず、ただ「大切な存在だ」と伝えてほしい
私は、大人になってからADHDの診断を受けた友人に、「子どもの頃に、親にこう接してほしかったって思うことはある?」と聞いたことがあります。
すると彼女は、こう答えました。
「他の子と比べられて叱られるのが嫌だった。親にほめられたくて、認められたくて、小学校の頃に書いた将来の夢なんて、政治家だ弁護士だ医者だって、そういう権威みたいなものばかり。親にすごいねって、思ってほしかった。
でもきっとそもそもが間違っていて、何も持ってなくても、大切な存在だってことを感じられることが幸せなんじゃないかなって今は思うよ。」
わたしは、この答えに大切なものがすべて詰まっているのではないかと思います。
親が子どもの「安全基地(セキュアベース)」になることの大切さ
親が子どもを信じ、同じ目線で対話を重ねるような関係性ができていると、子どもは安心して大小問わず新しいチャレンジができます。
「もし失敗しても、お父さんお母さんが見守ってくれてるから大丈夫」と、親が心の拠り所となるのです(心理学ではこの拠り所のことをセキュアベースといい、子どもの発達上非常に重要なものとして位置付けられています)。
わたしは成績と自己効力感のUPを目標とし、教師としてそれぞれのお子さんと関わるわけですが、そのベースとなるのは親子関係なのです。
最後に
発達障害グレーゾーンのお子さんは、ときに学校で苦しい思いをしているケースがよくあります。「みんなと同じようにできない」ことを「なんとかできるようにしてあげたい」と、親御さんとしては厳しく接してしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、お子さんにとっていちばん大切なメッセージ、すなわち「あなたはいてくれるだけで大切な存在だ」というメッセージだけは、伝え続けていかなくてはならないと思います。